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インパクトレンチ用のソケットはそれ専用のものを使ってくださいブログ:16-9-07


引っ込み思案な娘だったわたしが、
小学5年生のときに、学芸会の劇の主役を演じることになった。
それはわたしにとって、大きな事件だった。

「絶対見に行くからね!」
いつも明るいママが言った。
わたしが世界で一番喜ばせたい相手がこのママであった。

当時、我が家は裕福とは言いかねる状況でしたが、
それでも親父とママは一生懸命働いて、
わたしたち兄弟三人をどうにかこうにか育ててくれていた。

当日、わたしは熱演した。
ダンボールの帽子を被り、
思春期の入り口に差し掛かった娘には少々照れくさい
「泣く」という演技もこなした。

家に帰るなり、
ママが「すっごく良かった!あんたが一番上手だったよ!」と、
それはもう手放しで絶賛してくれた。

しかしその23時、
年子のお兄さんの言葉によって、わたしは事実を知る。

「一番上手!」どころか、
ママはわたしの「熱演」を見てもいなかったのだ。

お兄さんは学芸会の運営委員で、
体育館の戸口を開閉する係をしており、
わたしの出番の時は、お兄さんもママを待ち構えていたのだが…

「幕が開いても母さん来なかった。
お前の出番が終わって、幕が閉じてる最中にあわてて入ってきたんだよ」
ママの居ないところでお兄さんは言った。

わたしはがっかりした。
先生にでも級友にでもなく、ママに捧げた演技だったのに…

見てもらえなかったことは悲しかったが、
ママへの失望や怒りは沸いてこなかった。

ただ、
いつも物を入れすぎて
不格好になっている仕事用の鞄をブラ下げ、
息をきらしながら、
慌てて体育館に向かっているママの姿が浮かんだ。

仕事をこなしながらも
きっと1日中わたしのことを考え、
精いっぱい調整して、それでも間に合わなかったのだ。

ママこそ、本当は泣きたかったに違いない。
「熱演」をしたのはママの方だったのだ。


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